アートゾーン神楽岡美芸短信

ギャラリストが様々な角度から日記風に伝える展示会通信です。

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3/24 「篠原奎次のアート・トーク」でアメリカの美術教育の現状を知る!

 昨日(3/23)の15:00から「篠原奎次のアート・トーク」を開催しました。米国の美術教育の現状をレポートしていただきました。

 篠原氏は日本で10年間浮世絵摺り師の修業をした後渡米し、ニューヨークを中心に創作版画を手がけ画廊に認められデビューをしました。40歳を過ぎてウエズリアン大学の美術教授として迎えられ以降第一線で活躍してこられました。

 以下は篠原氏のトークの内容です。

 アメリカには大学が約3千校、リベラルアーツが15百校ありますが、篠原氏の所属する大学はリベラルアーツのウエズリアン大学(リベラルアーツの大学としてはアーモスト大学と並ぶ名門校)です。
 高校生は高校卒業時に全国共通のテストを受け、その点数で大学選びをする。
 一方、大学側は各人の高校時代の成績ばかりでなく人物評価のデータを普段から収集しており、共通テストの成績と人物評価と独自のテストも加味することによって学生を選考する。
 大学の初期教育は教養教育であり、どこの大学においても全学生は自然、人文、社会系列の科目を幅広くとらなくてはならない。当然美術もその対象となる。
 ウエズリアン大学では美術の教員が7名いるが、何らかの形で全学生は実技も含めて美術を学ぶことになる。
 上級生になると美術に関心のある学生はさらに美術専攻を選択する。ところが日本、韓国、中国の学生はほとんど美術専攻には進まず、ビジネスや科学の専攻を選択するそうだ。
 しかし、美術専攻の学生が将来、芸術家となる率は非常に低く、さらに上級の大学に進んだウエズリアン大学の学生は医学、弁護士などのコースへと行くそうだ。
 このような事情から、大学をでて社会人として活躍している人たちは美術・芸術の素養を持っている人たちと考えてよい。従って身近にアートの話が話題になるそうである。
 アメリカのアートの裾野は広く、画廊以外に4,5月~10月にはアートのフリーマーケットがいろんなところで開かれ賑わっている。いわゆる日曜画家である市民たちも作品をフリーマーケットに出し売り買いをするそうだ。アメリカでは絵は名前で買うのではなく、好きか嫌いかで判断し気楽に買っていくそうだ。

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 美術館や画廊で絵を見るとき、買うときの基準として常に念頭に入れたいのは、どの絵がすきか嫌いかを決めて、では何故すきなのかを自分なりの解釈を持つようにすることが重要です。チャック・クロスという画家は絵を学ぶのはゴルフのようなものだ、軌道修正を加えながらホールを目指すものですという落ちで講演の締めとなりました。

 アートトークの後の懇親会では篠原氏の中高時代の友達なども来られていたため楽しい懇親会となりました。

 

 
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3/20 「田中恒子コレクションによる太田三郎展」を見に行く!

 私のギャラリーに時々来られる現代美術のコレクター田中恒子さんの収集作品による、三条通りの都ホテルの北側に面したギャラリーすずきで「田中恒子コレクションによる太田三郎展」が開催中でしたので見に行きました。

 太田三郎の作品は見たことが無かったのですが、評価の高い作家でしたので一度見たいとは思っていました。
 
 太田三郎は戦後生まれの作家です。切手シートのスタイルの版画作品を作り続ける一方、使用済みスタンプを毎日切手に押し続ける作業を通して、「生」を確認しつつ、切手の図柄に現代社会の歪みや恥部を描き私達に問題提起をし続けています。

その中に戦争告発のシリーズ作品があり、このシリーズの全作品を今回展示されたのです。

「兵士の肖像」シリーズ、「被爆地蔵」シリーズ、「被爆樹」シリーズ、「私はだれですか」シリーズ、「軍人像」シリーズ、「無言館」シリーズがあるのですが、どれも一見目立たない地味な作品ですが切手の体裁でシートに書き込まれた細かな文字を読み取ると、この作家がいかに鋭い問題意識を持っており、なんと饒舌な作家なのかということが見えてきます。

地味な個展でしたが、ずっしりとした深く味わえる個展でした。太田三郎はすごい作家だと思います。

会期は3月23日(日)までです。是非見に行ってください。

田中さんのコレクターとしての眼力に敬意を称します。

なお、若い頃から田中恒子さんは若手の作家の作品を買い続けてこられ、その中には村上隆や奈良美智の初期作品もあるとのことです。

3/15 タイの版画事情を探訪す!

 2月12日から16日までタイのバンコクへ行きました。
去年の秋からアート・オブ・レディデンスでタイのシルバコーン大学に美術留学している英(はなぶさ)裕さんを、版画作家を紹介していただこうということで訪問しました。

 12時過ぎ関空を発ち、現地時間午後6時ごろに到着し、ジュシタニホテルには午後8時ごろに入りました。ジュシタニホテルはBTS(高架鉄道)と地下鉄(M)が交差するタイの繁華街にあります。

 翌13日約束の時間の10時30分に間に合うようにBTSに乗り終点サバーンタクシンでタイの中心を流れるチャオプラヤ川の基幹交通の船に乗り換え、ター・チャンに向かった。
 ター・チャン港で英さんの迎えを受け、川の東側に広がる王宮の北側にあるシルバーコン大学へ早速案内してもらった。

 タイの大学ではシルバーコン大学とチュラロンコン大学が著名な名門総合大学です。特にシルバーコン大学は美術系学部が大変充実していますが美術系学部はバンコク市内にあります。そして美術系学部の一部とそれ以外の学部は郊外で車で約1時間余りのところにあります。車で案内されたのですが広大なキャンパスでした。

 下記はバンコク市内の王室の北側にあるシルバーコン大学のサインです。

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 下記はシルバーコン大学キャンパス内です。銅像は当大学の創設者(イタリア人らしい?)です。

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 下記はシルバーコン大学内のアトリエを提供されて研修に励む英(はなぶさ)さんです。

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 英さんはタイで研修されるのは2回目で前回はチェンマイ大学で研修されたようです。2回目となる英さんはタイ語にも精通されており私達の通訳をしていただきました。

 また、英さんは今回の研修では銅版画も学んで帰りたいとのことで、版画の先生に師事されていましたので私達にとっては版画作家を紹介していただく絶好のチャンスでもあったのです。

 下記は大学内の版画アトリエ

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 大学内の版画施設は実に充実していました。しかも、郊外のキャンパスにもバンコク内と同じような版画施設がありました。学部生、大学院生を紹介され作品も見て回りましたが基礎教育がしっかりしていると思いました。

 英さんの話によるとシルバーコン大学に入学できる学生はタイ全体のトップクラスが入学して来るそうで、卒業生はタイ国内の美術教育を担う作家として育っていくエリートだそうです。

 院生や学部生や研修生の作品を2、3紹介しましょう。

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 また、英さんにシルバーコン大学の版画の先生も紹介いただきました。その中で非常にユニークなコンセプトで作品を制作しているYanawit先生を紹介します。

 Yanawit先生は色んな草木や花の樹液や色素を染色技法で紙に定着させる版画作品を制作されています。南国タイは草木も花も種類が多く実に様々な色が版画として定着しており見事な作品ばかりです。

 あまりに素晴らしい作品ばかりで見とれてしまいました。
 早速、先生に個展を申し入れ来年12月にしていただくことになりました。

 下記写真の左がYanawit先生です。

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 Yanawit先生の作品を扱っているギャラリーを紹介いただき翌14日に訪ねていきました。
 
 ギャラリーは高級住宅外の一角にあって素晴らしいスペースを持つギャラリーでした。Yanawit先生から事前に連絡してあったのか、先生の名前を伝えると私達を収蔵庫に案内されYanawit先生の作品を沢山見せていただきました。

下記はYanawit先生の作品を収蔵しているTONSONギャラリー

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下記はYanawit先生の作品ですがやはり本物を観ないと良さが判りませんね。

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 タイのバンコクを訪問してくるまでいろいろ案内してもらいましたが、バンコクは大都市であることがよくわかりました。タイの人口は6千万人ですがバンコクには1/10の6百万人が集中しているそうです。どんどん新しいビルが建っていますし、近代化が進んでいます。

 しかし、タイのギャラリーは入居許可書の要るような高所得者が住む特別区域内にあったり、高級住宅街の一角にあったりして街角では見受けられませんでした。まだまだ、アートの大衆化は進んでいないようです。

 タイはアジア地域の中で植民地として他国に支配されたことのない国として古い文化が残っているユニークな王政の仏教国です。それだけに、絵画も伝統的なタイ様式の絵画が主流のように思えましたが、一方でそれを打ち破る絵画も現れてきており今後が楽しみです。

 








3/12 篠原奎次(ケイジ)木版画展まもなく開催!必見です。

 篠原奎次(ケイジ)木版画展を下記の通り開催します。

 期間:3/14(金)~4/1(火)

 篠原奎次(ケイジ)氏の経歴

 大阪枚方市生まれ。大学に合格するも、進学に疑問を感じて進学を放棄し木版画版画工房に弟子入りする。刷師修行を10年した後、30歳で創作活動を志しアメリカに渡る。ニューヨークを拠点に木版画指南やチャック・クロスの版画を刷りしながら創作活動を続け、抽象表現主義的な創作版画が美術館や画廊の認めることとなり、たちまち欧米で活躍の場を得る。
 その作風は抽象から徐々にアメリカの大自然をモチーフに心象的で神秘的な風景へと変化している。現在はウエズリアン大学で客員教授として美術を教授しながら欧米を中心に精力的に活躍している。

 作品を2,3紹介します。

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なお、下記の通り篠原奎次(ケイジ)のアート・トークを開催します。
  テーマ : 「米国美術教育事情ー大学、美術館、家庭などの場でー」
  日 時 : 3月23日(日) 15:00~
  場 所 : アートゾーン神楽岡
            京都市左京区吉田神楽岡町4
            TEL+FAX 075-754-0155
  料 金 : 無料


是非、ご高覧ください。
また、アート・トークにもご参加ください。


 
 

3/11 美術系大学・卒業展・修了展を見て

 今年は京都市美術館で開催された精華大学(1月下旬)、嵯峨芸大(2月初旬)、京都市美大(2月中旬)、京都造形大(3月初旬)の卒展・修了展を、また、東京新国立美術館で開催された東京5美術大学連合卒展・修了展を見に行きました。

 この数年毎年京都市美術館で開催される卒展・修了展は時間が許す限り見て回ることにしています。

 ◎その中で、著しい成果を出し始めているのが京都造形大学のように思います。日本画、洋画、染色、彫刻、映像部門で将来を担える人材がいそうです。

京都造形 (5)

京都造形 (6)


 京都造形大学では教員に若手の優秀な人材を集めています。学生達も教員に刺激をされるのでしょう。また、学長賞や瓜生賞などを優秀な作品に与えていることが大きい刺激になっているのでしょう。しかし版画部門はロートレック調の人物と配色の作品が目立つ程度で傑出した作品はありませんでした。

 ◎さすが京都芸大は全学科、全部門とも安定した実力の学生が集まっていると感じます。数点挙げてみましょう。

京都芸大 (1)


京都芸大 (2)


京都芸大 (46)


京都芸大 (17)


 これ以外にも構造設計などで見るべき作品がありました。版画専攻は全般にレベルが高いと思いました。

 ◎嵯峨芸大も基礎教育がしっかりしているのか日本画、洋画とも今後期待される学生がいるようです。また、版画部門も良くなってきていますね。楽しみです。

嵯峨美 (43)


嵯峨美 (5)


嵯峨美 (33)


 ◎一方、精華大学ですが数年前まではどの部門もレベルの高い作品がありましたが今年は見るべき作品がマンガ学部以外非常に少なくなったと感じました。他の大学は学長賞などを授与し学生を喚起しているのにたいし、刺激の少ない環境に育っているからではないかと思われます。もっとも、マンガ学部は他の大学を圧していますが、他の部門も頑張って欲しいですね。

その中でこれはと思ったのがこの日本画でした。

精華大 (8)


 ◎大学の取り組みがしっかりしているところの学生がやはりレベルが向上するのではないでしょうか。
しっかりした取り組みとは
1.優秀な教員を集めている
2.作品評価をしっかりしている
3.プレゼン指導が充実している
4.基礎教育が充実している
5.対外機関との協力関係を築いている
6.アートフェアー、オークションなどの試みをする
7.海外大学との交流制度が充実している
などなど

 学生が卒業してから一人前の社会人として、作家として、教育者として育て上げるためにはそれなりの教育環境がなければなりません。評価の無い環境は学生をずぼらにするのではないかと思います。

次回は東京の大学の卒展・修了展を取り上げます。


 

3/11 今村由男展閉幕までの道

 2月から今まで忙しい日々が続きブログから遠ざかってしまいました。
 2月2、3日と吉田神社節分祭へのご奉仕、しばらくしてタイへ美術状況の視察、今村由男展の準備・開催、2回に亘る東京出張、GNA主催の金沢親睦旅行などが重なり、なかなかブログを書く時間が取れませんでした。遅くなりましたが今村由男展の成果から報告いたします。

◎今村由男展 2/22(金)~3/11(火)
 
 今回で3回目の個展の目玉はなんと言っても星座シリーズの版画12点を屏風仕立てにした屏風の展示でした。
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 今村先生は少年の頃から星の観察が好きだったようで星空をいつも眺めて育ったとのことです。
 さらに、星座シリーズ各12点がその星座に相応しく先生がデザインした桜やクリの木で仕立てた特別額装に入った作品群も圧巻でした。

 また、中型新作群も野花や草木を主題に描かれており、大自然の爽快な空気や神秘が実感できるものばかりでした。

◎2/23(土) 今村由男のアート・トーク

 厳しい寒さの中、昼から大雪になり18:00からのトークイベントに集客があるか心配をしていましたが、行き降る中18:00近くになると今村ファンが1、2人と集まってこられ何とトークが始まるときには10数人となっていました。

 トークの内容は何時から版画に興味を持ったか、版画制作の奥の深さ、版画の楽しみ方、版画制作テクニックの説明、これから取り組みたいこと、など質疑応答をしながら先生のノウハウも含め話され、当初の予定をオーバーしましたが今村ファンは大いに満足しました。

 トークの後、懇親会に入り、先生と、またファン同士交流を深めワイワイガヤガヤと盛り上がるうちに12時近くになり、ようやくお開きになりました。

◎ことしから今村先生は日本版画協会のA部門審査長をされるとのことで、多忙な中郷土飯田市からトークのためにご出張いただき感謝感激でした。今後益々の活躍をファン一同期待しています。

 2月から3月初旬まで厳しい寒さが続き、雪降る日も多く不順な天候でしたが多くの今村ファン達は今回の個展に足を運んでくださいました。心よりお礼を申し上げます。

 

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